【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

【タイラント -独裁国家-】シーズン1 ネタバレ 感想

【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

完全ネタバレなので、閲覧注意です。

「タイラント-独裁国家-」は、中東にあるアブディンという独裁国家の大統領一家の物語である。自らの選択でアメリカに渡った大統領の次男が、20年ぶりにアメリカの家族を連れて母国へ帰郷し、一家の現実に直面する。民主化の波が一家その存続の危機へと追いやっている。過激な父親を嫌いアメリカへ20年逃げていたが、父亡き後、兄が大統領になる。独裁を続けようとする兄夫婦と、現体制側。武力と恐怖で維持してきたが、前大統領没を期に民衆を抑え込めないでいた。革命派のリーダーによる武力の巻き返しで一家に存亡の危機。アメリカ仕込みの民主主義を持ち込もうとする大統領の次男が勝つか、大統領夫人である兄の妻の現体制維持派が勝つのか。

 

 

 

 

感想

 

知られざる独裁国家の内情

【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

 

普段ニュース映像でその一部しか見られない独裁国家、しかもさらに謎な中東のどこかの国。
その国家に生きる民衆と、それを統治する血統一族の内情が映像として観られる、貴重な作品だと思う。【ホームランド】の製作チームが手がけているだけに中東事情の真に迫るシーンが多いと思われる。

 

生まれた国がたまたま独裁国家だったら。と思いを巡らすこともできる。

 

民主国家と独裁国家の対比が、登場人物たちによってより鮮明になっている。

 

前大統領の次男であり、現大統領を兄に持つバッサム・”バリー”・アルファイード

【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

 

彼の生まれた家は、独裁国家を統治しているアルファイード家。そんな家と父親の暴君ぶりに嫌気が差し20年間アメリカで生活している。小児科医を営んでおり人命の大切さを考えざるを得ない立場だ。

 

民主国家アメリカで、民主主義を存分に体験したバッサムだが、甥の結婚式に出席するということを期に故郷に引き戻される。

 

父の行った、血なまぐさい独裁者ぶりを嫌でも思い出さずにはいられない彼だったが、滞在中に父が死去。一変、兄が新大統領に就任するという一家の一大事になってしまう。これぞ運命のイタズラか。

 

急いでアメリカに帰国しようと飛行機に乗ったまではうまくいったが離陸を阻止され、あえなく滞在を強いられる。しかしもともと家族思いのバッサムだから、母親に兄を助けてあげてと懇願されたのと、兄を思う気持ちから甘んじて受け入れる。思えばこれが、運命の分かれ道だったのであろう。

 

20年逃げ続けていた、アルファイード家の事情に巻き込まれていく。さらには自分自身の起源・血について改めて対峙せざるを得なくなっていく。

 

当初はアメリカ帰国を急いでいたが、やはり一家の血なのだろう国家の問題へと正面からぶつかって行く。
かれはアメリカを立つ前から、自分の血の本性が故郷で目覚めてしまうことを恐れていたに違いない。

 

支配者の血である。

 

民主化の波に一家の存亡が危うい状況で、旧態依然と暴力による圧政により事態を解決しようとする兄ジャマル・アルファイードに亡き父親の姿を重ねるバッサム。兄を退けて、民主化を進める他手がないと翻弄する。

 

血なまぐさい圧政の歴史の中で大きいのは20年前に起きた大虐殺「マアーンの悲劇」反政府側のテロに対しガス攻撃で民衆を20万人虐殺するという悲劇だ。

 

父親の行った非道に対し、激しい憤りを憶えていたバッサムだったが民主化を進めていく内に母親から重大な真実を明かされる。

 

ガス攻撃を命じたのは父親ではなく、軍の司令官だった叔父タリクの独断で行ったという事を。
当時、父親は民主活動家のリーダーと対話の場を何かも設けており民主化推進は目前であった。しかし現体制を維持したい叔父のタリクが自作自演で行ったテロ活動を理由にガス攻撃を行ったのだ。

 

この事件依頼、民主化は頓挫しまんまとタリクの思惑通りに事は進んだのである。
父親は暴君ではなかった、むしろ民衆の事を考えていた穏健派だった。暴君は叔父タリクだったのである。

 

父親が、今わの際にバッサムに告げた言葉の意味がわかった。「お前を大統領にすればよかった」

 

結局、兄ジャマルの失脚クーデターは失敗に終わった。クーデター側の味方であったハキムが土壇場で兄ジャマルにすべてをバラシてしまったのである。

 

【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

 

ハキムは当初から疑わしいそ素振りをみせていた。
それにしても、少々民主化を推し進めるには強引すぎるような気がしていた。
そう簡単に国家体制を変えることなどできないと思っていたが、やはりそのようだ。

 

結局、どんなときでも腹黒いアメリカCIAの女性分析官にもそう言われてしまう。

【タイラント -独裁国家-】シーズン1  ネタバレ 感想

 

浅はかだったのだ。

 

兄ジャマルに投獄されてしまい、死刑も処さない状況だ。しかし、このまま終わるはずがないバッサムだろう。兄にも勝る生まれ持った暴君の血が本性だと思われるのでシーズン2以降が楽しみだ。

 

 

 

シーズン3までの感想はこちら

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