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マンハント ドラマ /FBIに17年間の捜査を余儀なくさせた、IQ167の爆弾魔ユナ・ボマーことセオドア・カジンスキーという男の人物像に迫る。

 

マンハント ドラマ FBIに17年間の捜査を余儀なくさせた、IQ167の爆弾魔ユナ・ボマーの人物像とは?

 

大人が見て充分楽しめる秀作でした。

 

Netflix の「マンハント・ユナボマー」 FBI 捜査史上最長である17年間の苦心の末逮捕に至った物語。派手な犯罪アクションものではなく、捜査官と爆弾魔ユナボマーことセオドア・カジンスキーの人間像に深くクローズアップした物語で、大人が見て充分楽しめる秀作でした。

アメリカを恐怖に叩き込んだ稀代の爆弾魔ユナ・ボマー/マンハント ドラマ

マンハント ドラマ FBIに17年間の捜査を余儀なくさせた、IQ167の爆弾魔ユナ・ボマーの人物像とは?

マンハント ドラマ FBIに17年間の捜査を余儀なくさせた、IQ167の爆弾魔ユナ・ボマーの人物像とは?

FBIの最長捜査記録となる17年間という長い間に渡り、犯行を繰り返してきたユナ・ボマーの犯罪履歴

 

1978年 ノースウェスタン大学の材料工学科教授に小包爆弾事件。これが最初の犯行。警察官が負傷。

 

1979年 再度ノースウエスタン大学に郵便爆弾事件。大学院生が負傷。

 

同年11月 アメリカン航空444便爆破テロ未遂事件。乗客12人が煙を吸い込み病院に搬送。FBIが連邦犯罪としてユナボマーの捜査に乗り出すことになった。

 

1980年 ユナイテッド航空社長、郵便爆弾事件。自宅にて負傷。

 

1981年 ユタ大学郵便爆弾未遂事件。警察により解体未遂事件に。

 

1982年 ヴァンダービルト大学郵便爆弾事件。事務員女性負傷。

 

同年7月 カリフォルニア大学バークレー校郵便爆弾事件。電子工学科教授が負傷。

 

1985年 カリフォルニア大学バークレー校に再郵便爆弾事件。電子工学科大学院生が指4本を失うなどの重傷。

 

同年6月 ボーイング社郵便爆弾未遂事件。爆弾処理班により解体。

 

同年11月 ミシガン大学郵便爆弾事件。2人が負傷。

 

同年12月 カリフォルニア州サクラメント パソコン店経営者爆殺事件。初の死者。

 

1987年 ソルトレークシティー コンピュータ店経営者負傷事件。初の目撃証言による似顔絵が、全米中に報道される。

 

1988年から1992年までの7年間、犯行なし。

 

1993年6月22日カリフォルニア大学 遺伝学者、24日イェール大学コンピューターサイエンス学科教授 いづれにも爆弾を郵送それぞれ重傷。

 

1994年 バーソン・マーステラ社重役爆殺事件。

 

1995年 木材業界ロビイスト団体代表爆殺事件。

 

1995年 いわゆる「ユナボマー・マニフェスト」と呼ばれる犯行声明文『産業社会とその未来』、を全国紙に載せる代わりに今後の犯行は中止するという条件を提示。 ニューヨーク・タイムズとワシントンポストが掲載。

 

 

 

この声明文に注目した、FBI分析官の解析が手がかりとなり、逮捕。

かつては天才数学者であったIQ167のユナ・ボマー/マンハント ドラマ

IQ160の有名人といえば、この人

 

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そう、先日アインシュタインの誕生日にお亡くなりになった天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士だ。

 

ユナ・ボマーはIQの上ではホーキング博士の上を行くということになる。

 

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ユナ・ボマーことセオドア・カジンスキーは1942年、イリノイ州にポーランド系の2世移民として生まれる。 父親はソーセージ工場の労働者。

 

内向的ではあるが、高い知能を持つ少年で小学校5年でIQが167あった。15歳で、上級数学コースを高校で受講しており、飛び級により、16歳でハーバード大学に進学した。

 

ミシガン大学で数学の修士号とPh.Dを取得。1967年、25歳でカリフォルニア大学バークレー校の助教に就任。カリフォルニア大学バークレー校では学部生に、位相幾何学や関数空間を教えていた。

 

彼の専門性に対する評価は高く、教授への昇進も期待されていたほどだった。

 

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大学勤務当時のユナ・ボマーことセオドア・カジンスキーの実物写真

一転、27歳で大学を辞職し自給自足の孤独な山小屋暮らし

ここからネタバレ含みます。

 

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知能の高さからゆえか数学者としての専門性も認められ、教授への道も開かれたと思われていたが、彼はそのキャリアを一切捨て27歳という若さで大学を退職。

 

一転、電気もガスも来ていない山奥に一人孤独に引きこもり、弟と建てた小さい山小屋に長い間暮らすことになる。
天才のやることは凡人にはよくわからないが、彼をそうたらしめたには幾つかの理由と経緯があったようだ。

他人のことがわからないという苦しみ

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逮捕される少し前、弟に宛てた手紙の内容から彼を生涯悩ませ続けた要因をうかがい知ることができる。

 

精神医学の専門家から、セオドアは幼少期より音に対する反応が過剰であったことに加え、他人に体を触れられることに強い拒絶反応があったことから、アスペルガー症候群の症状が強く観られるとの見解だ。

 

デビットへ

 

この手紙は謝罪を意味するものでもないし、リンダ(弟の妻)に対する気持ちも変わっていない。

 

それでも、私は知らないうちに人生の分岐点に立たされ兄弟からのアドバイスを必要としている。

 

大人になってから、大半の時間を費やしたある活動も今やもう必要なくなったようだ。ちゃんとした説明になっていなかったら許してくれ。

 

デビット、私が今まで人間関係に苦しんで来たのは知ってるだろう?

 

他人が何を感じているのか、何を考えているのかわからない。これまでの人生は窓の向こう側から観ているような気分だった。

 

なにもかも、どんどん通り過ぎて行ってしまう。どうすればいいのかわからない。デビット教えてくれ、

 

今さら変わろうとしても遅いのか、教えてくれ。

 

最初からやり直すことが出来るのか。

 

裏切られ続けた、ユナ・ボマーことセオドア・カジンスキーの半生

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両親

 

彼は両親に対し、捕まった今でも恨みを抱いているという。

 

なぜなら、息子の出来がいいことに小学4年で2年も飛び級させられ6年生の教室に入れられた。

 

本人は深刻なコミュニケーション能力の欠如を自覚していたため、2つも年が上の生徒たちを同級生に持つという特異な環境下での適応能力が、」まだ備わっていないし早すぎると思っていたからだ。

 

またハーバード大へ16歳で行かされたこと。

 

「父さんと母さんは喜んでた、なんたって息子がハーバード大に通ってるんだから。でも想像できるか?大学に通う16歳がどれほど孤独だったか。

 

 

生涯たったひとりの友達 ダグ

 

飛び級先で初めてできた友達ダグ。ふたりは意気投合し少年らしく遊び、友好を深めていた。しかし、ダグに恋人が出来たことによってその関係にヒビが入る。ダグは恋人とばかりいるようになり、セオドアとは疎遠になって行った。

 

ダグとよく遊んでいた森の中でひとりさびしくしていたら、たまたま、ダグと恋人が森のなかでデートしている所に出くわしてしまう。悲鳴をあげるダグの恋人。「あんなやつ、やっつけちゃってよ!」とダグをけしかける。

 

ダグも恋人の前で格好つけるべく、セオドアに暴力を振るう。これまで温めて来た男の友情はあっけなく終わってしまった。

 

その後腹いせに、ダグに回した手紙に火薬を仕込み爆発させた。このころには郵便爆弾の原型が出来上がっていたようである。

 

報復は完全に成功し勝ち誇るセオドアだったが内心は、友情を温めあったテッドにあんなことをしてしまった自分に心が張り裂けそうになったようである。

 

セオドアは後に弟に宛てた手紙の中で、この頃を振り返りこう語っている。

 

「すべてはこの時始まったんだろうと思う。だってあれが初めての実験だったんだから。」

 

弟デビット

 

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生涯にわたり唯一心を通わせることができた人間は弟のデビットだ。セオドアは弟にこう手紙に記している。

 

親愛なるデビット

 

私は砂漠で暮らすお前を尊敬していた。なのに、その女性がお前のことを個人的所有物にするときめたからと言って
全てを捨て、中産階級の暮らしをして経理仕事に就くのか。それを手放して弁護士にならないか。

 

お前のことが大事だから落胆している。私の弟よ、兄はお前に誠実だ。

 

その女性とは、弟デビットの妻リンダだ。

 

セオドアは、大事な弟をリンダに盗られたと思っているのだろう、それは子供の頃、女生徒に盗られた唯一の友だったダグのように。

 

 

また、逮捕の決定的なきっかけとなったのには弟の通報によるところが大きい。弟は兄の犯罪を止めねばならないという思いと、兄の命を救いたいという思いでそうしたのであるが、結果的にはセオドアの意志とは真逆の結果となってしまった。

 

ヘンリー・マリー心理学教授

 

16歳で孤独な大学生活を送っていたセオドアに、ようやく明るい兆しが見えた。それはハーバードを象徴する輝かしい最高権威。マリー教授の存在だ。

 

ヘンリー・マリー教授こそセオドアが成りたかったすべてであった。

 

教授と親密な関係になることに成功。教授はセオドアのすべてを認めてくれ、彼の主張にも真摯に耳を傾けてくれて意見を交わしあった。一見素晴らしい師弟関係に見えるが、そうではなかった。

 

教授は当時CIAの秘密研究組織に属しており、人格の破壊と洗脳の実験に関わっていた。その被験者をこともあろうにハーバード大から調達していた。

 

より洗脳しやすい従順な性格を持つ生徒たちを集め、関係を築き信用させ数年にも渡る無謀な実験をさせていたのだ。

 

ハーバード大で受けたひどい仕打ち、MKウルトラ計画の被害者であった。

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MKウルトラ計画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

MKは、被害者の名前にちなむ。MKウルトラ計画(Project MK-ULTRA、MKウルトラ作戦とも)とは、アメリカ中央情報局(CIA)科学技術本部がタビストック人間関係研究所と極秘裏に実施していた洗脳実験のコードネーム[1]。米加両国の国民を被験者として、1950年代初頭から少なくとも1960年代末まで行われていたとされる[2][

 

実験

CIAの文書によると、「マインドコントロールの効果を立証するための実験」と称して、化学的、生物的な手段を用いた事に留まらず、放射性物質にも着手した事が明らかとなっている[12]。

 

薬物

LSD[13]をCIA職員や軍人、医師、妊婦、精神病患者らに投与する実験を行っていた。LSDや他の薬物が常に被験者からの事前の同意なしに投与されていた。そうした行為は、第二次世界大戦後にアメリカが調印したニュルンベルク綱領に違反している。

 

被験者の「募集」も非合法の手段がしばしば用いられ、更に「被験者の合意(認識)なく、薬物の投与を受ける」という事実を隠蔽して行われた(ただし実験への参加は任意であった)。大掛かりな実験を行うことが多く、77日間連続でLSDを投与したこともある[14]。 LSDを投与して自白を引き出す理論が確立されたころ、敵側の人間に使用する事前予行として、売春婦を用いてギャングのリーダーを誘き寄せ、飲み物にLSDを混入させる実験までも行われた。その実験で、隣室の売春婦と会話する内容を盗聴したところ、「自分や自身の組織が犯した殺人や詐欺など、重大な犯罪について話をした」らしい。[15] しかし、「余りに予想だにしない結果を生む」ということで、結局LSDを使った実験は打ち切りとなった[16]。

 

 

 

ハーバード大のヘンリー・マリー心理学教授もCIAの前身の団体に雇われていたようで、セオドアはこのときに受けた精神的ダメージが後に彼を悩ませるフラッシュバックが犯行に及ぶ大きな要因ではないかとされている。

 

しかも、10代の青年期に2年間にも及ぶ長きに渡り実験は行われていた。トラウマにならないはずが無いことぐらいは常識の範疇ではないだろうか。

『産業社会とその未来』天才がゆえの苦悩

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以下が、新聞発表されたユナ・ボマーことセオドア・カジンスキーの主張『産業社会とその未来』の要約である。

 

産業革命は、人類に心理的苦痛を蔓延させた。技術の継続的開発は状況を悪化させるだろう。我々は現行社会の経済・技術基盤を転覆させる「革命」を主張する。

 

現代社会は、社会システムを維持するために、個人の自由(外部から強制されずに目標を持ち、達成する機会を持つ事)を損なっている。

 

現代社会において、人間は以下のような心理的傾向を持つようになる。

 

①劣等感
自らに対して自信が無く、自助努力でなく、社会からの保護を願う。敗北意識から個人間の競争に敵対し、失敗の原因を社会に帰着させる。自らに価値を感じないため、集団主義的になる

 

②過剰社会化
「社会化」とは、社会が求めるように行動するよう訓練される過程。現代社会の道徳規範は厳しく、完全なる道徳的行動は至難。「過剰社会化」とは、自らの行動に対して道徳的理由を作り出す事であり、「汚れた」考えを持つ事が出来ず、束縛感と無力感を持つようになる。

 

上記①、②の事象は、現代社会が社会化の結果、人間が持つ自律性への欲求を満たせないからだ。

 

自律性を感じるには、自らの意思で目標を設定し、目標を達成しなくてはならない。

 

原始社会においては、身体的欲求を満たすための目標が大量にあり、自律性を感じる事が出来た。現代世界では、人間は社会的な規則に従わなくてはならず、自律性を感じる事が出来ない。

 

現代人は規則に縛りつけられているが、規則の大部分は産業社会に必要であり破棄出来ない。優先されるのはシステムのニーズであって、人間の欲求ではない。

 

技術的進歩により、こうした傾向は加速するだろう。人類は偶然の創造物でなく工学的製品になる。技術は物理的利点を示すが、自由は人によって異なる意味を持つ抽象であり、自由の喪失は覆い隠されてしまう。

 

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子供の時に、上記のような思想を持つ集団の中で生活した事がある。結局、原始的な生活の中でも、集団の中で生きていく以上は、規則を押し付けられる。その事が理解出来ない人達だった。

 

現代人の方が原始人よりも遥かに自由だ。

アスペルガーのひとりごと ブログより引用

 

これが17年の間、爆弾で人を犠牲にしながら主張したかった内容だ。
彼なりに人類に対する警鐘を鳴らしたかったのであろう。そのやり方は残虐非道であったとしてもだ。

 

 

 

 

彼は、裁判の結末が精神異常者による不幸な犯行でその責任能力を問われないことを一番恐れていた。
なぜならば、上記のまっとうな主張が精神異常者のたわごとに過ぎないという観られ方をされたくなかったからに他ならない。

 

主張をまっとうななものにするべく、1審で罪を認め自ら有罪に成ることを望んだのだ。

 

彼の目論見は、完全な形では無かったにせよ大筋では目的を果たせたのであろう。いまでもアメリカでは稀代の爆弾魔ユナ・ボマーという名前と『産業社会とその未来』という大事な主張がセットとなって今も語り継がれているのだから。

冷酷非道な爆弾魔なのか、それとも博愛精神を持つ精神異常者なのか。

 

 

セオドアの生い立ちや、その半生に受けて来た奇異な体験を差し引いても彼の犯した罪は、まったく慈悲の念も抱けないほど残虐であることには代わりが無い。

 

しかしながら、大学で受けた政府による陰謀や、彼の突出した知能の高さ、アスペルガーという通常の人とは違う思考形態持った人物の犯行であるということも無視することはできない。

 

『産業社会とその未来』で主張している、人類への警鐘。または

 

コミュニケーションに問題がありながらも、隠遁生活で知り合った図書館秘書の女性とその子供との関わりにおいて人生をやり直したかった切実な希望が、弟デビッドに宛てた手紙から見て取れる。

 

天才であり、凶悪な犯罪者であるセオドアの『産業社会とその未来』という主張は、いま現代の社会でもより色濃く当てはまってきているように思われる。

 

もしかしたらこの先の近い未来、セオドアの鳴らした警鐘が現実のものになるかも知れない。

 

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