【ブレイキング・バッド】全部観たネタバレ感想 『男が男らしく生きるとは?…』
人生とは皮肉なものだ。とくに男が男らしく生きる人生とはいかに哀愁が漂よっているものなのか。というのが、全作見終わった時、率直に感じた私の感想だ。
余命2年 50歳 障害のある息子とまだ年の若い妻。遅ればせながら授かった娘がもうすぐ産まれてくる。
しかし、3年後には自分だけこの世にいない…。しかも、愛する家族に残していけるような財産も皆無だ。
※Netflixより転載
自分はなんのために、この世に産まれてきたのか。なんて役立たずな情けない男なんだ…。と責任感の強い昔気質な男なら、そう思うはずである。
自分に残された時間はあと2年間。四の五の言っているヒマはない。頭と体が動くうちに、なんとか一財産家族に残して行かなければという、究極の状態になったとき自分ならどうするだろうと、身につまされて考えてしまう。
真っ当な道を歩んだところで、たかがしれていることは容易に予想がついてしまう。やはりウォルター同様、残された自分の能力が手っ取り早く大金を稼ぐのに役立つとしたら、迷わず突き進むであろう。
それが、悪の道だとわかっていても。
生と死の狭間で、皮肉にも輝きはじめる人生
※Netflixより転載
どうせ2年後には死ぬとわかっているウォルターも、悪の道でのつば迫り合いの中で何度も命の危険にさらされる。命をかけた戦いの中で、勝利を収めた時の充実感にウォルターは生きている実感に包まれる。
実直な性格が原因か、親の教育のせいか打算の末、安定を選んで生きてきた結果が無一文で若くして死んで行く人生。チャンスはありながらもリスクを恐れて掴み損ねた人生。そんな鬱積した思いに50年耐えて生きていたが、どこか自分の人生を生きている実感は無かったのだろうと思う。
※Netflixより転載
捨て鉢になり、究極のリスクを取ったこの2年間こそが皮肉にも彼の人生の最後を輝かしいものに変えたのだった。
しかし残念ながら、ウォルターが男らしく生きた2年間は、義理の兄の命が失われてしまったような大切な家族の犠牲という、取り返しのつかない代償の上に成り立ったものだ。
※Netflixより転載
男らしく生きるとはなんだろう。
当初は家族のためにと、急き立てられていたウォルターだが、周りの人間の人生までも巻き込んで自身の力を誇示してきた結果、とうとう妻スカイラーに本音を打ち明けた。
『私のやったことは家族のためではなく、すべて自分のためにやった。好きでやった。わたしには才能があった。』
『それに心から思えた。生きていると…』
稼いだ10億ほどの金は、結局自分からは渡せなかったが自分が死んだあと、息子の18歳の誕生日に取り消し不能信託の形で渡すことができたようだ。
しかし、家族からは憎まれている。
自分の我をとおし、家族にひどい思いをさせて憎まれても大金を残せる男。
つつましく勤勉に一生働き、朗らかな家庭人だった父親だが借金しか家族に残せなかった男。
ここに2人の男の人生が存在する。
同じ男であるご同輩、どちらの男に男らしさを感じるだろうか?
またどちらの男になりたいだろうか?
そして女性陣、あなたがスカイラーだったらどちらの男を選びますか?
※Netflixより転載
あらすじ
その教師、余命わずか。最後の賭けは麻薬精製。
ニューメキシコ州アルバカーキ。高校で化学を教えるウォルター・ホワイトは内気で温厚で、真面目すぎる50歳の男性。第2子である娘を妊娠している妻スカイラーや脳性まひを持つため杖が放せない高校生の息子ジュニアとつつましく暮らすため、放課後は洗車場でアルバイトをしている。ところが肺がんだと判明し、余命はわずか2年と宣告される。そんなウォルターの中で、何かに火がつく。ウォルターは自分が亡くなった後に家族が苦労しないよう財産を残そうと、ドラッグの精製という超ヤバい副業に手を出す。かつて一流研究者だったがなぜか高校教師に転じたウォルターは、そのディープな化学の知識を駆使して純度99.1%という驚異のスーパードラッグを生み出し、元教え子であるディーラー、ジェシーをパートナーにして闇のビジネスに乗り出す。ところが、おいしいネタを狙ってワルどもがどこからともなく集まり、ウォルターもジェシーも気が休まるヒマはゼロに。しかもスカイラーの妹の夫(つまりウォルターの義弟)であるハンクはDEA(全米麻薬取締局)で働くドラッグ・ハンターで、アルバカーキに新たな危険人物(本当は義兄ウォルター)が現れたことで、何だかハッスル。あるディーラーに命を狙われたことをきっかけに人として許されない一線を越えてしまったウォルターは、自分の最大の武器である知性をフルスロットルで駆使し、ギャングに負けないほど武装化し、当局に捕まらないよう対策を講じていく。“失うものは何もない”。孤立無援の極限バトルにウォルターは飛び込んでいく!
本作のタイトルである“ブレイキング・バッド(Breaking Bad)”は“道を踏み外す”という意味。第1話の冒頭、追い詰められたウォルターがハンドルを握るキャンピングカーが暴走し、つい道路から飛び出してしまうシーンは、本作のテーマを象徴している。“道を踏み外す”ことは現代人の多くが避けるべき行為だが、同時に、だからこそドラッグに匹敵するかもしれない危険な快感が、そこにはひょっとしたらあるのかもしれない。
それに気づいてしまったのが本作の愛すべきバッド・ヒーロー、ウォルターだ。がんの治療で抜け落ちていく頭髪をいっそのこと剃り上げてスキンヘッドに変貌すると、それは本物のギャングたちをもビビらせる結果に。シーズンを重ねていくうちに、ウォルターは家族のために財産を残すという当初の目的から逸脱し、“自身の帝国を築きたい”と欲望はエスカレートしていく。どこまで予測不可能なのか。まだ誰も見たことのないドラマがここにある。
ブレイキング・バッド オフィシャルサイトより引用 http://breakingbad.jp/
ユニークなキャラクター 弁護士 ソウル・グッドマン
※Netflixより転載
殺伐としたストーリーの中で、ひときわ気なるユーモラスなキャラクター弁護士 ソウル・グッドマン。
マフィアのマネーロンダリングの片棒をかつぐ悪徳弁護士でありながら、どうにも悪人になりきれない彼の人となりになぜか興味をそそられてしまう。
もとはどうやら、いい人間らしいことが想像される。結局自分もマフィアに睨まれ着の身着のまま、逃亡しなければならない羽目になってしまうかわいそうな弁護士。まぁ身から出た錆ではあるのだけれど。
劇中、とても気なる存在だと思っていたらやっぱり人気が高かったようで彼を主人公としたスピンオフがスタートしている。
【ベター・コール・ソウル】だ。
このブレイキング・バッドの6年前に遡り物語が作られている。こちらもシーズン3まで観たがなかなかの面白さだ。
狡猾な麻薬ディーラー グスタヴォ・”ガス”・フリング
※Netflixより転載
表の稼業は、街に愛されるファーストフード店の経営者だがその裏の顔は店の物流を、麻薬の運搬に利用している、闇稼業の有力者。
献身的に店で働く、良きファーストフードの店主である顔と背筋も凍る闇の麻薬ディーラーの顔とのギャップに、観ている側にえもゆわれぬ恐怖感を与えてくる存在。
※Netflixより転載
【ベター・コール・ソウル】でも主要人物として活躍する。
2014年度エミー賞 6部門受賞は伊達じゃない!
海外ドラマ特有の全体的にゆっくりとした内容だが、その分主人公の心境の変化がつぶさに伝わってくる。
その反面、マフィアとのやり合いの緊迫感もある。
とにかく、綱渡りで常に追い詰められているウォルターと同じ気持ちになって、文字通りハラハラ・ドキ・ドキさせられる面白さがある。
最初の数話は退屈かもしれないが加速度的にその面白さに気づかれることだと思います。
間違いなくおすすめです。